2017年11月30日木曜日

整地の仕方講座


はい、皆さんこんにちは。

囲碁講師の坂本亨秀( さかもとあきひで )です。

さて、今回は整地の仕方についてお話ししましょう。

整地は囲碁の最終的な勝敗の確認方法で、
対局をする上で欠かせない技術ですが、
昨今はネット碁の普及によりコンピューターが
自動的に地合いの計算をしてくれるため、
実際に整地をしたことがない
という方も増えてきました。

ですが、大会や囲碁会に参加する際には
やはり整地の仕方は身につけておきたいですよね。
また、整地のミスは
勝敗の誤判定にも繋がりかねないので、
そういったトラブルを避けるためにも、
整地のやり方をきちんと身につけておきましょう。



まずこちらは、九路盤の終局図です。

四角印の部分はダメ詰めで、
どちらが打っても地にならないところを整地前に埋めていきます。

続いて、白の×石は死に石なので
黒地の陣地から取り除いて
白地に埋めていきます。






さて、ダメ詰めと死に石を移動させて
いよいよ地合い計算ですが
このままの形では地が数えにくいですね。
そこで整地作業の開始です。


〇印の石を黒石なら黒地。
白石なら白地の中に移動させます。

同じ陣地の中を移動しているだけなので
お互いの地の数は変動しません。





石を移動させた後の形がこちら。
お互いの地を四角形にすることで、縦 × 横 の掛け算をするだけで、簡単に地を数えることができますね。
例えば右上の黒地は
3×5=15 計15目
といった具合です。

あとは各陣地の目数を足せば、
お互いの総計がわかります。
この図なら、黒計17目、白計14目で
黒が盤面3目多い、となります。


こんな感じで、お互いの陣地のなかの石を移動させて
四角形にすることで数えやすくさせるのが整地作業です。

作る四角形は、以下のような形がよく使われます。

10目の陣地


①5×2の基本的な10目の形です。
 






②4×3=12、12-2=10目の形。
 少し変則的ですが、
 こちらも実戦でよく使う10目の形です。




5の倍数の陣地

縦横どちらかの数を5に合わせることで
5の倍数で簡単に計算できるようにする形です。
こちらの図は5×4で20目の陣地。

こっちは、5×6で30目の陣地。

更に大きくすれば、5×8で40目も作れます。






10の倍数の陣地

縦の数を10に合わせることで
10の倍数で計算する形です。
図は10×4で40目の陣地。

碁盤の端から辺の星までがちょうど10目なので、辺の星を目印に整地すると作りやすい形です。







20目の陣地

7×3=21
21-1=20目

やや変則的ですが、
これも覚えてくと便利な形です。





以上の形をなんとなく覚えておけば、
実際の整地もかなりやりやすくなってきます。

それでは、実際に19路盤の整地をしてみましょう。


こちらが終局図。
ダメはすでに埋めてあるので、ここから死に石を取り上げ、アゲハマと共に相手の地に埋めます。

その後、 陣地内の石を移動させお互いの陣地を四角形にしていきます。


四角形に整地した形がこちら。
それぞれ先ほど紹介した形にし

黒地は
30+30+9=69

白地は
20+10+10+25=65

黒の盤面4目となりました。

※互先なら、ここからコミが
 引かれます。




大抵はこの状態で清算してしまうのですが、
人によっては地を囲う石に相手の石があるのが
気になる方もいますよね。
実際、碁形によっては相手の石が多く混じって
どちらの陣地かわからなくなる、
というトラブルもあります。
そういう時は、地と関係ない石と交換すれば
綺麗に整地することができます。
例えば上の図の場合、
アルファベットの石同士を交換すると


このように、お互いの地を囲う石がハッキリして、どちらの地かわからなくなる、というトラブルは避けられます。

ただ、地を囲う境界線の石を
触ることになるので慣れないうちは無理に変える必要はないと思います。








さて、最後に整地のコツを紹介しましょう。

①小さい地は先に埋めて、
 大きい陣地に全てまとめる。
先ほどの図なら、右上や中央の白地を先に埋めて
下辺や左上などの大きな地にまとめます。
小さいところを広げるより、
もとから大きいところを整理した方が早いのです。

②地を囲う石。境界線は動かさない。
初心者がやってしまいがちですが、
お互いの地を囲っている石を動かしてしまうことで
地の数が変わってしまったり、境界線を触って
お互いの地が繋がってしまったりします。
自分と相手の地を囲っている石が隣接している場所は
無暗に触らないようにしましょう。

③焦らずゆっくり、確実にやること。
序盤にも説明しましたが、
整地はお互いの地を整理し
勝敗がわかりやすくするための手段です。
ですので、整地のミスによって
勝敗が入れ替わってしまうことも起こりえます。
通常、自分の地は相手が、
相手の地は自分が整地するので
いわばお互いの信頼関係の上に成り立っている行為。
慣れてくれば勝手に素早くできるようになってくるので
最初のうちは焦らず、
間違いなく整地すること心がけましょう。

いかがでしたでしょうか。
半目勝負くらい細かい戦いになってくると、
整地している時はかなり緊張感がありますよね。
そういった整地時の緊迫感など実際の対局独特のもので
ネット碁なんかでは味わえない趣だなぁ、と感じます。

皆さんも整地に慣れることで、
安心・安全な勝敗判定ができるようにしましょう!


囲碁講師 坂本亨秀


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