2017年9月7日木曜日

~ 囲碁に対する考え方 ~


囲碁というのは実に魅力的な競技です。
古くは中国から日本に渡ってきて、
貴族や武家の嗜み・教養のひとつとされていました。
江戸時代には「御城碁」というのが生まれ、
名立たる名人が将軍様の前で真剣勝負を行い、
当時の家元 「 本因坊家 」、「 安井家 」、「 井上家 」、「 林家 」
この四家が切磋琢磨を繰り広げていました。

その後、長い歴史の中で伝統と研究を重ね、
今日まで人々に愛され続けています。
近年ではコンピューターが進化し、
ついに囲碁AIが世界ランクNO.1棋士を打ち負かしました。
「コンピューターが囲碁で人間に並ぶのは、まだまだ当分先の話」
とされていた囲碁界ですから、
世界を駆け巡った人類敗北のニュースに
プロアマ問わず大震撼であったのは言うまでもありません。

しかしながら、世界の碁打ちの心は強かった。
囲碁AIを凍結せず、むしろ積極的に対局を重ねることで、
打ち筋を研究し、その技を自分たちの碁に昇華しようと
次々囲碁AIに挑戦していくのですから。

私が囲碁と接していて感じるのはその懐の深さです。
たとえ子供とお年寄りであろうと、
男女であろうと、国籍も関係なく、
さらにはコンピューターであっても。
碁盤を挟めばそこに輪が生まれ、人がいて、ドラマがある。
囲碁を通せば、権威も立場もなく、ただただ人柄だけがそこにある。
そんな包み隠さない裸の状態で、皆が一心不乱に碁盤を見つめる 。
 それだけの面白味が囲碁にはあって、
また誰もがそれを共有し、決して独り占めすることがない。
そうやって生まれる碁縁をもとに、
人と人とが繋がっていくのが囲碁の本当の魅力だと思っています。

悲しいことに娯楽の多い昨今、
年々囲碁人口が減り、碁会所も次々潰れてしまっています。
人間同士のふれあいが減り、その場限りの勝った負けただけが先細るように続いている現状です。

しかし、囲碁AIに負けたことをきっかけに、囲碁界に横たわっていた
「盤面での強者が偉い。勝者だけが絶対である」
という強い偏見が薄れてきたように感じます。

いまもう一度、囲碁を通じて人と人とが繋がりあう、
そういう人間にしかできない囲碁との関わり方が求められる時代が来ています。
一人一人が、自分なりの囲碁との関わり方を見つけることによって、

囲碁の可能性はもっと広がっていくのです。
美しい歴史のなかで磨き上げられた「伝統」に習い、
次世代によって新たな「可能性」に変えていく。
囲碁界に訪れる。

「 古き良き新時代 」

棋道を志す者のひとりとして、
少しでもその力になるよう日々精進して参りたいと思います。
一生勉強。人生鍛錬。

囲碁講師 坂本 亨秀


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