はい、皆さんこんにちは。
囲碁講師の坂本亨秀( さかもとあきひで )です。
さて、しばらく記事を書くのをサボっていましたが
この前久しぶりに、なるほどなぁ、と思った出来事がありました。
それは、「 石はとても献身的 」ということ。
今回はこれについてお話していきましょう。
さて、事の始まりは生徒さんの指導をしている時です。
下図を題材にして、模様についての話やサバキの話などをしていました。
坂本「 白Aの石は軽くみて、利き味をみながら白1くらいが良さそうですね 」
生徒さん「 坂本先生。せっかく打った石だからノビたりしてそのまま動き出したくなるんですが、それは良くないのですか? 」
坂本「 場合にもよりますが、相手の強い場所でひと塊で動くとまとめて攻められる恐れがあります 」
坂本「 例えばノビだと( 下図 )こんな感じでしょうか。これは白の方が大変そうですね 」
坂本「 そりゃあもう。敵の腹中に突撃させておいて、本体が危なくなったらあっさり見捨てているわけですからね。囲碁には結構こういう場面が多く出てきます 」
生徒さん「 なるほど。僕たちの命令ひとつで兵隊が活きたり死んだりするわけですね 」
坂本「 その通り。謂わば、私たちは自軍の司令官みたいなものです 」
生徒さん「 勝つためには、時には冷酷にもならないといけないわけですか 」
生徒さん「 可哀想ですけど仕方がないんですね 」
坂本「 はい。でも、石というのはすごく働きたがりなんです。捨て石でもそうですが、例え取られる未来しかなかったとしても、できるだけ役に立ってから死のうとします 」
生徒さん「 た、確かに。最後まで何かの役に立とうとしてますね 」
坂本「 そうなんです。石というのはすごく献身的なんです 」
坂本「 例えば下図を見てください。逃げる白に対して黒が先回りしてきたので、今度は隙のある黒の内部で闘おうとしています。この時、白Aの石がまた役立ってきていますね 」
坂本「 しかし言い換えればこれは『 やっべ。白Aを見捨てて逃げようとしたけど先回りされた。やっぱり中で闘う事にしたから、白Aにはまだ働いてもらお 』という事になります 」
生徒さん「 おお、確かに…… 」
坂本「 けれど、白Aは文句のひとつも言わずにキビキビ働きます。むしろ、役に立てて喜んでいるぐらいでしょう 」
生徒さん「 そう言われると、すごく献身的ですね 」
坂本「 ですね。すごく健気です 」
といった話をしていました。
囲碁というのは、どれだけ石を効率よく使うかで
勝敗が決まるといっても過言ではありません。
なので、時には囮にしたり、見捨てたり、
という判断もしなければなりません。
「 カス石を助けるな 」の考え方ですね。
助けてしまったが為に、それが重荷になってしまう事も多い。
そんな時は石たちの声を想像してみましょう。
健気で、自軍の勝利に貢献的な石たちは
「 俺の事はいい!早く逃げろ! 」
「 ただでは死なねぇ。残った奴らの為に少しでも敵の気を引き付ける! 」
きっとこんな感じになっている事でしょう。
囲碁に闘いはつき物。石同士が接近すると、
どうしても取った取られたになってしまいます。
そういう時は、常に全局を見ながら
最終的にどうすれば勝つことができるのか、を考えましょう。
勝利を収めることが、取られていった石たちに対する
なによりの供養になるというものです。
石は、私たちの指示を忠実に守る優秀な兵隊です。
その石たちを活かすも殺すも自分次第。
「 石はとても献身的 」
少しでも、石たちを喜ばせられるような碁を打ちたいものですね。
囲碁講師 坂本亨秀
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